展覧会

前田利為 春雨に真珠をみた人

-前田家の近代美術コレクション-

概要

展覧会名前田利為 春雨に真珠をみた人
-前田家の近代美術コレクション-
会期2021年2月13日(土)~2021年3月21日(日)
休館日月曜日
時間10:00〜18:00(入館は17:30まで)
観覧料一 般 800(600)円
大高生・65歳以上 600(500)円
中学生以下 無料
*障がいのある方とその付添者1名は無料。
*(  )内は20名以上の団体料金。
*目黒区内在住、在勤、在学の方は、受付で証明書類をご提示頂くと団体料金になります。
*各種割引の併用はできません。
主催等主  催  公益財団法人 目黒区芸術文化振興財団 目黒区美術館
特別協力  公益財団法人 前田育徳会
助  成  公益財団法人 花王 芸術・科学財団


本展では、前田家第16代当主である前田利為の収集した、近代美術コレクションを紹介します。
利為による近代美術コレクションは、4度にわたるヨーロッパ赴任を含む多忙な公務のかたわら、自ら展覧会を巡り、美術家のアトリエを訪れて収集した作品を含むきわめて貴重なものです。初公開となる作品を含めて、利為の愛した前田家の近代美術コレクションの多様な魅力に触れて頂けることでしょう。
また、目黒区と金沢市とが友好都市として交流を深める契機ともなった、目黒区駒場の地に現存する旧前田家本邸にゆかりのある作品や資料も紹介します。
なお、本展に出品される作品は、すべて公益財団法人前田育徳会の所蔵品です。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《アネモネ》


展覧会名の「春雨に真珠をみた人」とは、前田利為が蜘蛛の巣に宿る雨粒を写真に収め、アルバム台紙に「綾真珠」と記したことに由来します。 本展では、その繊細な感性と美意識に着目し、利為のコレクションを紹介します。 
※写真の実物は出品されません。

前田利為「綾真珠」1917(大正6)年頃

1.利為の愛した美術品

利為のコレクションには、国内外の展覧会や美術家のアトリエで、自ら選んだ作品も少なくありません。本展では、そのように利為がとりわけ気に入っていた作品を紹介します。 また、天皇などの貴賓を迎えることを想定して前田家の本邸に飾られた、当時の日本を代表する名画の数々も見どころです。

[初公開! フランソワ・ポンポン《シロクマ》と《バン》]
フランソワ・ポンポンは、オーギュスト・ロダンの工房で助手を務めたこともあり、動物をモティーフにしたモダンな作風で人気を博しました。利為は、1929(昭和4)年に滞在中のパリでポンポンによる白熊の彫刻を見たことを日記に記し、その年の11月にはアトリエを訪れました。
そのとき注文されたのがこの《シロクマ》と《バン》です。

 フランソワ・ポンポン《シロクマ》1930年

 フランソワ・ポンポン《バン》1930年

[初公開! 牛田雞村の代表作《鎌倉の一日》] 
1917(大正6)年、利為は9 月11日から開催されていた再興第4回日本美術院展会場で見たこの作品を気に入り、牛田のパトロンで、美術家を手厚く支援したことで知られる実業家の原三溪から購入しました。この作品は同展で樗牛賞を受賞しましたが、その後公開されたことはなく、長らく幻の作品とされてきました。
本展では、上下2巻にわたり「鎌倉の一日」を描き切ったこの作品の全体を展示します。

牛田雞村《鎌倉の一日》1917(大正6)年

[邸宅を飾った名画たち]
1910(明治43)年、明治天皇による本郷(文京区)の前田家本邸への臨幸を迎える準備として、利為は、パリで美術商を営み多くの美術家と交流した先見的な審美家であり、日本での美術館設立という志半ばで世を去った林忠正旧蔵の絵画の購入を決めました。
このとき収集した作品に始まり、数々の名画が前田家の邸宅を彩りました。

ジャン=バティスト=アルマン・ギョーマン 《湖水》1894年 

ルイ=ジョゼフ=ラファエル・コラン《庭の隅》1895年

竹内栖鳳《南支風色》1926(大正15)年

小杉放菴《銀鶏》1940(昭和15)年以前

2.前田家の歴史と近代美術コレクション

利為は、当主として取り仕切った本郷邸への明治天皇の臨幸、1930(昭和5)年に竣工した駒場邸(目黒区)での暮らしなどを一流の画家に描かせました。また、加賀藩を治める大名家であった先祖から継承した家宝に連なる前田家の近代美術コレクションには、一族にまつわる事跡を描いた作品も含まれています。
このような作品には、一族の歴史を受け継ぐ利為の意志がこめられているといえるでしょう。

下村観山《臨幸画巻》(部分)1931(昭和6)年

久保田金僊《駒場御本邸画帖》(15面のうち1面)1940(昭和15)年

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